冬季のヒートショック

 

暦の上では「立春」を迎える2月ですがまだまだ真冬日を記録することもある寒さが厳しい時季でもあります。このような時季に気を付けたいのが「ヒートショック」です。ヒートショックとは、気温の低い屋外から暖かい屋内への移動や、暖かい部屋から寒い部屋への移動などによる急激な環境温度の変化による急激な血圧変動が原因で引き起こす健康リスクのことです。急に体温が下がると血管を縮ませて血圧が上がり、逆に体温が上がると血管が広がることで血圧が下がります。

ヒートショックが起こりやすい場所は?

ヒートショックが起こりやすいのは特に冬場のトイレ・洗面室・浴室などで、 暖かい部屋と冷えた部屋は10度以上もの温度差があります。      

浴室では脱衣所で冷えると血管が縮んで血圧が上がり、熱い湯船につかると急激に血管が広がり血圧が下がるからです。

トイレや洗面所には、暖房器具が設置されていないケースも少なくありません。暖房の効いた部屋からトイレや洗面所に移動するときに、室温が急激に下がると、ヒートショックが起こるリスクがあります。

ヒートショックの症状として

初期症状 、軽度であれば立ちくらみやめまいとして現れます。 これは血圧の急激な低下によって脳に十分な血液が送られなくなることで起こります。 ヒートショックが重度になると、意識消失・頭痛・嘔吐・脱力・ろれつが回らない・胸や背中の痛みなどの症状があらわれます。症状が出たら、その場にゆっくりしゃがむか、可能であれば横になり、血圧の変動が落ち着くのを待ちましょう。無理に動こうとしたり、立ったままの状態でいたりすることは、足のもつれや失神などで転倒する恐れがあるため危険です。

    

ヒートショックを起こしやすい人は?

  • 65歳以上(高齢者) …
  • 糖尿病・高血圧・肥満 …
  • 睡眠時無呼吸症候群・動脈硬化・不整脈がある …
  • 浴室・トイレに暖房設備がない …
  • 熱いお風呂を好む …
  • 長風呂しがち …
  • 飲酒後にお風呂に入る習慣がある
  • 水分補給をあまりしない・・・・など

予防・対策は?

脱衣所や浴室、トイレを暖める      

急な温度変化を避けることは、ヒートショック予防の基本です。
ヒートショックは10℃以上の温度差があると生じやすくなるといわれます。ヒートショックが起こりやすい場所といわれる脱衣所や浴室、さらに冬場はトイレ、廊下などにも暖房器具を用意し、リビングとの温度差が大きくなりすぎない程度に暖めて、ヒートショックを防ぎましょう。

お風呂の温度は低めの38~40℃にする           

お風呂の温度は38~40度の低めの温度に設定して、脱衣所との寒暖差をなるべく小さくしましょう。

41度以上になるとヒートショックによるめまいやたちくらみによる浴室内での転倒や失神などの事故が増え、42度以上の熱いお風呂では、心不全や脳卒中が起こりやすくなります。

食後すぐの入浴や、飲酒後、服薬後の入浴を避ける

食事をとった後、めまいや失神を起こす食後低血圧という病気があります。食事をした約20分後から消化のために血流が腸に集まり、脳への血流が保てなくなって過度に血圧が低下し、めまいや失神を起こします。飲酒も、血圧を一時的に下げる要因となります。飲酒後はアルコールが抜けるまで、入浴を避けましょう。その他、精神安定剤、睡眠薬、眠くなるタイプの風邪薬の服用後も同様です。

こまめに水分補給する

体内の水分が不足すると、脳梗塞のリスクが高まります。ヒートショックは脳梗塞を引き起こす一因となるので、こまめな水分補給を心掛け、水分が不足しないよう注意しておきましょう。

 

 

ヒートショックを予防するポイントは、血圧が乱高下しないようにすることです。そのためには温度差をなるべくなくしたり、身体に負担の少ない入浴方法を心がけましょう。