禁煙のススメ

今からでも遅くありません。禁煙始めませんか?

なぜ禁煙するの?

長年タバコを吸っていても、禁煙するのに遅すぎることはありません。また禁煙は病気の有無を問わず健康改善効果が期待できるので、病気を持った方が禁煙することも大切です。
禁煙は、性別・年齢・喫煙による病気の有無を問わず、すべての人々に大きくかつ迅速な健康改善をもたらすと報告されています。

タバコの三大有害物質

<ニコチン>
ニコチン依存を引き起こす原因物質で、中枢神経系に作用し、少量では興奮作用、大量では鎮静作用を示します。肺から吸収され全身に広がり間接的には血管収縮作用をもたらします。また、代謝物は発ガン性が認められています。

<タール>
フィルターに茶色く付着するいわゆるヤニのようなもので、発ガン物質として有名なベンツピレンをはじめ、アミン類など数十種類の発ガン物質が含まれています。

<一酸化炭素>
酸素の200~250倍の結合能でヘモグロビンと結合します。それによって血液の酸素運搬機能が阻害され、組織の酸素欠乏を引き起こします。

ニコチン依存症とは?

脳の中には、ニコチンが結合すると快感を感じる受容体(ニコチン受容体)があり、タバコを吸うと、血中を通してニコチンが脳にすぐに達し、ニコチン受容体と結合すると、快感を生じさせるドーパミンという物質が放出されます。
快感を感じた後のイライラなどを解消するために、またタバコが吸いたくなり、もう1本‥もう1本と吸いたい欲求が生じてタバコがやめられなくなる状態です。

タバコによる病気のリスク

★がんのリスクの増加
★心臓病・脳卒中のリスクの増加
★慢性気管支炎・肺気腫・喘息・COPDの進展
★胃潰瘍・十二指腸潰瘍のリスクの増加
★糖尿病の悪化
★歯周病
★肌荒れ
★早産・低出生体重児・胎児発育遅延(女性の場合)

また、タバコは喫煙者だけでなく、周りの人にも影響を与えます。
「受動喫煙」といい、タバコを吸っていなくても、煙を吸い込んでしまい、吸い込んだ煙はタバコの先から出るもので副流煙と呼ばれ、煙に含まれている有害物質(一酸化炭素・ニコチン・タールなど)の量が喫煙者の吸い込む主流煙よりも多いと言われています。

禁煙による体の変化

禁煙直後‥‥周りの人をタバコの煙で汚染する心配がなくなる

20分後‥‥血圧と脈拍が正常値まで下がり、手足の温度が上がる

8時間後‥‥血中の一酸化炭素濃度が下がり、血中の酸素濃度が上がる

24時間後‥‥心臓発作のリスクが少なくなる

数日後‥‥味覚や嗅覚が改善したり、歩行が楽に感じる

3か月後‥‥心臓や血管など、循環機能が改善する

9か月後‥‥スタミナが戻り咳や喘鳴が改善したり、感染を起こしにくくなる

1年後‥‥軽度・中等度の慢性閉塞性肺疾患のある人の肺機能の改善がみられる

2~4年後‥‥虚血性心疾患や脳梗塞のリスクが約1/3減少する

5~9年後‥‥肺がんのリスクが明らかに低下する

10年後~‥‥様々な病気にかかる危険が非喫煙者のレベルまで近づく

タバコ離脱の症状

  • イライラしたり不安になったりする
  • 集中力の低下
  • 不眠・抑うつ気分
  • 甘いものがやけにほしくなる
  • 便秘
  • めまい
  • 喉の痛み

タバコ離脱症状の対処法

◎飴を舐めたりガムを噛んでみる
◎うがいや歯磨きをしてみる
◎軽い運動をしてみる
◎食後は早めに食卓を離れる
◎吸っている人や自動販売機に近づかない
◎コーヒーやアルコールを控える
◎ゆっくり深呼吸する
◎好きな音楽を聴く

人によって差はありますが、長く続くものではないので、誘惑に負けず、乗り越えましょう。

無理は禁物!!禁煙外来の利用

禁煙外来とは、文字通り禁煙を目指す専門外来の事で、禁煙指導や禁煙補助薬による治療を行います。
2006年4月より一定の条件を満たせば健康保険が適用されます。これは、禁煙はニコチン依存症という病気であるという判断のもと、保険診療で禁煙治療ができるようになったのです。

(保険適用条件)
【1】ニコチン依存症のスクリーニングテスト(TDS)でニコチン依存症と判断された時
【2】1日のタバコの喫煙本数×喫煙年数が200以上になる
【3】すぐに禁煙することを希望している
【4】禁煙治療についての説明を受け、治療を受ける事を文書により同意している

(治療スケジュールと費用)
標準禁煙治療は、12週間で5回外来を受診するというプログラムです。
具体的には初回から数えると、2回目は2週間後、3回目は4週間後、4回目は8週間後、5回目は12週間後という全12週間のスケジュールです。
費用は、保険診療が適用になる場合には、一般的に約2万円前後で受ける事ができます。しかしスケジュール通りにクリニックに通院する事が必要となります。