夏の食中毒
食中毒は4月、5月と暖かくなるにつれて多くなり、7月から9月にかけての夏場に最盛期を迎えるといわれています。
夏(7月~9月)は湿度や気温が高く、細菌が増えやすいので、この時期には細菌性の食中毒の発生件数が増加する傾向にあります。
食中毒の原因
食中毒は、有害な微生物(細菌やウイルス)などが起因となり、おこる健康被害です。食品や飲料を介して有害物質が体内に入ると、腹痛、嘔吐、下痢、発熱などの症状が現れます。
食中毒の原因は、大きく分けると、次の4つです。
- 細菌・・・カンピロバクター、ウェルシュ菌、黄色ブドウ球菌、サルモネラ属菌など
- ウイルス・・・ノロウィルス、ロタウィルスなど
- 寄生虫・・・魚介類に寄生するアニサキスなど
- 自然毒・・・きのこ、野草、ふぐ、貝などに含まれる天然の毒
食中毒の予防3原則
1 つけない=清潔 洗浄
食中毒の原因菌やウイルスを食べ物につけないようこまめに手を洗いましょう。
包丁やまな板など、肉や魚などを扱った調理器具は使用するごとに洗剤で洗い、できるだけ殺菌するようにします。また、肉や魚の汁が他の食品に付着しないよう、保存や調理時に注意が必要です。
2 ふやさない=迅速 冷凍
細菌の多くは10℃以下では増殖のペースがゆっくりとなり、マイナス15℃では増殖が停止します。肉や魚、野菜などの生鮮食品やお総菜などは購入後、できるだけ早く冷蔵庫に入れましょう。
3 やっつける=加熱 殺菌
ほとんどの細菌やウイルスは加熱によって死滅するので、しっかり加熱して食べましょう。特に肉料理は中心までよく加熱することが大事です。中心部を75℃で1分以上加熱することが目安です。
ふきんやまな板、包丁などの調理器具にも、細菌やウイルスが付着します。特に肉や魚、卵などを使った後の調理器具は洗剤でよく洗い、熱湯をかけるか台所用殺菌剤を使って殺菌しましょう。
ウイルス性の食中毒にはもう一つの予防原則があります。「持ち込まない」です。調理場などにウイルスを持ち込まず広げないようにしましょう。
予防の6つのポイント
1.食品の購入
- 表示のある食品は、消費期限などを確認し新鮮な物を購入しましょう。
- 購入した食品は、肉汁や魚などの水分がもれないようにビニール袋などにそれぞれ分けて包み、持ち帰りましょう。
2.家庭での保存
- 肉や魚などは、ビニール袋や容器に入れ、冷蔵庫の中の他の食品に肉汁などがかからないようにしましょう。
- 肉、魚、卵などを取り扱うときは、取り扱う前と後に必ず手指を洗いましょう。せっけんを使い洗った後、流水で十分に洗い流すことが大切です。簡単なことですが、細菌汚染を防ぐ良い方法です。
3.下準備
- 肉や魚などの汁が、果物やサラダなど生で食べる物や調理の済んだ食品にかからないようにしましょう。
- 生の肉、魚、卵を取り扱った後には手を洗いましょう。途中で動物に触ったり、トイレに行ったり、おむつを交換したり、鼻をかんだりした後の手洗いも大切です。
4.調理
- 加熱して調理する食品は十分に加熱しましょう。加熱を十分に行うことで、もし、食中毒菌がいたとしても殺菌することができます。目安として中心部の温度が75℃で1分間以上加熱することです。調理を途中でやめるような時は、冷蔵庫に入れましょう。再び調理をするときは、十分に加熱しましょう。
- 料理に使う分だけ解凍し、解凍が終わったらすぐ調理しましょう。解凍した食品をやっぱり使わないからといって、冷凍や解凍を繰り返すのは危険です。冷凍や解凍を繰り返すと食中毒菌が増殖したりする場合もあります。
5.食事
- 食卓につく前に手を洗いましょう。
- 清潔な手で、清潔な器具を使い、清潔な食器に盛りつけましょう。
6.残った食品
- 残った食品は早く冷えるように浅い容器に小分けして保存しましょう。
- 残った食品を温め直す時も十分に加熱しましょう。めやすは75℃以上です。味噌汁やスープなどは沸騰するまで加熱しましょう。
- ちょっとでも怪しいと思ったら、食べずに捨てましょう。口に入れるのは、やめましょう。
食中毒を起こす細菌等は、加熱で殺菌できるものが多いのですが、中には、熱に強い殻(芽胞)や毒素を作るものもいて、これらが加熱調理した食品による食中毒の原因となることがあります。加熱調理した料理を原因とした食中毒が実際に起こっています。
加熱調理後はすぐ食べる、保存する場合は小さな容器に小分けし冷却保存をする、常温で放置しないなどで食中毒を予防しましょう。